body 身体, breath 呼吸

スワスティカーサナ(吉祥座法)

ヨガスタジオや教室などで、レッスンの始めと終わりには座ってオームを唱えたり挨拶をしたりというのは一般的で、されたことがある方も多いかと思います。アジア人は床での生活が文化的に身近なので、あまり意識しないでもあぐらや正座などで床に座ることができますが、ヨガ的に正しい姿勢で行う座り方というものが何種類かあり、それは瞑想のための座り方でもあります。

以前、シンボルとしてのスワスティカについて書きましたが、今回はヨガのポーズ(アーサナ)としての、日本語では吉祥座法と訳されるスワスティカーサナ(swastikasana)をご紹介します。前述したようにスワスティカは吉祥印とされ、組んだ脚がスワスティカのように見えるところから名付けられたものです。

#1 脚を軽く交差させ、床面に対して坐骨と仙骨を垂直に立てるように骨盤を整えて座ります。骨盤を立てるのが難しく感じられる場合は、畳んだタオルや座布団で坐骨の下に高さを入れるとやりやすくなります。

# 2 左踵を恥骨のすぐ前に、右踵をその前に置き、体の中心線で両踵を前後に揃えます

#3 右つま先を小指側から、左内膝または左ふくらはぎと内腿の間に挟み、その後 親指側から左つま先を右内膝または右ふくらはぎと内腿の間に挟みます。

#4 床に触れている部分(足や坐骨)は、ポーズ土台として根を下ろすようなイメージを持ち、顎は引いて、尾骨から頭頂までの真っ直ぐの線を感じるようにして、背骨と体側を天井に向け引き上げます。

#5 親指と人差し指の先で輪を作り、あとの三本の指は軽く揃えて印を結び、手の甲を膝に乗せます。鎖骨を左右に開き、肘は開かないようにして肩を自然に落とします。
(この印はチンムドラーと呼ばれます。同じ指の作法で手のひらを下に向けた場合はギャーナムドラーと呼ばれる印(ムドラー)になります。それぞれのムドラーには意味や効果があるとされていて、いつかまた改めて書きたいと思います。)

#6 目線を落としてぼんやりと1点を見るようにするか、柔らかく目を閉じた状態で、身体の感覚や呼吸を内側から観察するように意識を向けます。アーサナとして行う場合は、頭の中で吐く息をカウントし15呼吸程度を目安に行います。カウント後、脚を解いて数呼吸してから、脚の組み方を左右変えてもう一度行います。

瞑想の際の座法でもあるように、集中力を鍛え、感情を安定させる効果があるとされています。身体的には、背骨を整え、足首や股関節の柔軟性を高めます。上記のように15呼吸程度ずつだけでも、丁寧に細く長く意識した呼吸で行うと、その後ではすっきりとした気持ちの切り替わりが感じられるようになるかと思います。

 

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Q. ヨガをした後に、眠くなったり、だるく感じたりします。どうしてですか?

A. ヨガの後にだるさが出るのは、「好転反応」と言われています。筋肉が伸びて血流やリンパの流れが良くなり、温泉に入ったり、マッサージを受けた後のような、だるさや眠気、ぼーっとした感覚を持たれる方は少なくありません。

私のレッスンでは、参加される方それぞれがご自分の体をあらためて意識できるよう、わかりやすく丁寧な説明を細かく入れながら進めていきます。一見、動きが少なかったり、簡単そうに見えるポーズでも、そのポーズにおいて使うべき筋肉が正しく使えていると意外なほどの運動量となっていて、しっかり汗をかいたり、次の日に思いがけない部位が筋肉痛になっていたりします。

普段無意識にやっているのとは違う体の使い方をして、血液やリンパの流れが、そしてヨガ的な言い方をするとエネルギー体である「プラーナ」の流れもとても良くなります。呼吸が深まり、ヨガを行う前と比べ副交感神経が優位になるので、心身ともにリラックス度が高まっているはずです。お風呂上がりやマッサージ後と似たような感覚になるのも、そんなに不思議ではないかと思われます。

定期的にヨガを行い、クセや偏りの少ない体の動かし方が身についてくると、普段の生活でも体内の巡りが良くなってくるので、もみ返しや揺り戻しのようなヨガ後の急激な眠さ、だるさはだんだんと落ち着いてくるはずです。実際に、ちょっと疲れ気味だったりすっきりしないという時にヨガをすると、かえって元気になったり、目が覚めてシャキッとした気分になると言う経験は、私自身はもちろん、クライアントさんからもよく聞きます。

レッスン後は、せっかく諸々流れが良くなってますので、常温の水、白湯、ハーブティなどをこまめにたくさん摂り、デトックスするように意識してみてください。(余談ですが、この流れの良さが消化吸収を活発にもするので、ヨガ後の食事や飲酒には十分気をつけましょう!)

なお、なんとなく体全体がだるい、頭がぼーっとするといった状態は好転反応と考えられますが、腰や背中、首など特定の場所が重く感じる、違和感があるなどの場合は、クセや無理のある使い方をしている可能性がありますので、ご自分の体からの声をよく聞き分けるようにしてください。

breath 呼吸

ヨガ的呼吸のしかた

「アーサナ」の項目でも触れましたが、ヨガでは「呼吸」をとても大切にしています。

同じポーズをしていても、深い呼吸が伴っていると身体の奥深くに効いて、一見ゆっくりと地味な動きをしたように感じても汗がぽたぽたと出てきたり、次の日にしっかりと筋肉痛になっていたりします。この筋肉痛は、スポーツやマシントレーニングの後に筋肉の表面に感じる「アイタタ…😖」といったものとは違い、もっと内側の部分にじんわりと感じるものです。使う筋肉が違うんですね。逆に言うと、アーサナをやったけれども汗もかかず、次の日あまり変化を感じなかった場合は、アーサナをおこなった際の呼吸が浅かったと考えることが出来ます。

では、深い呼吸とはどうすれば良いのでしょうか?

基本的にヨガの際には鼻腔を使って腹式呼吸をする、と言うことを知っている方は多いと思います。それをもう少し進めてみましょう。

おへそから指約3本分下方、皮膚の表面から2-3cm内側にあるとされる「丹田(たんでん)」を意識します。腹筋で丹田を背中側にじわじわと押し続けながら、鼻から同じ速度で吐き続けます。吐き尽くして身体の中に真空を作るようなつもりで。もう何も出てこない、となったらゆっくりとお腹を緩めて鼻から自然に空気を入れるようにします。

この繰り返しなのですが、始めのうちは吐ききろうと頑張りすぎると、勢いよく音を立てて吸ってしまう人も多いようです。吐く際に、肩はリラックスしてやや後ろに開きぎみにするのがポイントです。しっかり吐くと、その後体が慌てて酸素を取り入れようと反応するので、その状況を内側から観察し、意識を向けながら行うと呼吸のコントロールがしやすくなってくるはずです。この呼吸が正しくできると、それだけでデトックス効果があるんです。

腹式呼吸を意識するには、仰向けになって両手をおへそのあたりに置いてゆっくりと深い鼻呼吸をしてみる、というのも効果的です。呼吸の際のお腹の上がり下がりを手のひらで感じてみてください。「吐ききる」という感覚をつかむように少しずつ練習してみましょう。やりすぎは肺に負担をかけるので、ほどほどに、気持ち良さを感じられるくらいで行うようにしてください。また、花粉症や風邪で鼻が詰まっているときなどは、無理に鼻呼吸をする必要はありません。

アーサナをやりながら呼吸を意識する、というのは特にヨガ初心者には難しいかと思います。私もそうでした。一生懸命慣れないポーズをとろうとしていると、気はそぞろになりがちで、なかなか集中しにくいですよね。始めは、あまり完璧にやろうとせず「呼吸を深くした方がアーサナの効果は高いんだ」と知っておく、また「出来るだけたくさん吐こう」と心がけるだけでも違いますよ。

「これまで私がやっていたのは何だったの」という世界が、アナタを待っています。✨

たくさんの方に体感していただきたいです。気楽に、続けてみてくださいね。